アパート建設と税金に関して
相続税を安く抑えたいならアパートやマンションの建設がおすすめです。
これはアパート・マンションなどの不動産の相続税評価額が実際の購入金額と違い、国税庁で定められた基準で評価され、一般的に低く評価されるためです。これだけでも現金を相続するより税金を安くできます。しかも、土地は利用方法に応じて評価税額が変わるように定められていて、土地の上にアパートやマンションを建てることで貸家建付地としてさらに土地評価額を下げられます。
つまり、不動産は持つだけでなく制度を使いこなすことでより相続税対策となるわけです。
ただし、不動産を持つということはそれだけ費用や相続税以外のお金がかかることになるので「資産を守る」という目的で考えた時の有効性は様々です。
不動産による相続税対策は、資産運用も含めた上で検討しましょう。
◇不動産の評価額は現金より低い◇
不動産の相続税評価額は同じ価値の現金より低く計算されます。
つまり、現金を所有するよりその現金を不動産へ変えるだけで相続財産の課税価格が下がります。
■土地の評価額について■
土地の評価額は1㎡ごとの路線価をもとに決めます。路線価は取得価格の約80%程度が目安とされます。
■建物の評価額について■
建物の評価額は固定資産税評価額をそのまま使います。
固定資産税評価額は目安として購入時の60~70%ほどになります。
つまり、1億円のマンション・アパートを購入すると課税価格が6000~7000万円ほどになります。
◇土地とアパート・マンションを組み合わせて評価額をさらに低くできる◇
土地とアパート・マンションの組み合わせは現金より低くなった評価額をさらに下げることが可能です。
それが貸家建付地としての評価や小規模住宅用地の減額の特例などを利用した制度です。
■借地権割合・借家権割合に応じた減額■
建物や土地を貸しているということは、そこに第三者が存在しているため、直ちに処分(売却)することはできません。
そこで、借地権割合・借家権割合に基づいた減額を行います。
まず、借地権割合については土地に応じて30~90%まで決まっています。具体的には路線価図に書いてあるアルファベットが借地権割合を示します。貸家建付地(※)の減額は評価額に借地権割合をかけて、さらに借家権割合をかけます。借家権割合は一律30%で計算されます。そして、借家権が利用されている割合として貸している部屋の入居中/全室である賃貸割合を掛け合わせます。
貸家建付地の評価額=本来の評価額×(1-借地権割合×借家権割合(30%)×賃貸割合)
貸家についての評価額は、借家割合を差し引いた価額となります。
貸家の評価額=固定資産税評価額-固定資産税評価額×30%×賃貸割合となります。
つまり、マンションやアパートを買うならしっかり満室にした方が相続税対策になります。
(※)アパートやマンションの建っている土地のことを貸家建付地と言います。
■小規模住宅用地の減額の特例■
小規模住宅用地の減額の特例とは、住宅用地について評価額を一定の割合で減額するものです。
つまり土地の上に賃貸用マンション・アパートが建っているだけで土地評価額が低くなります。
アパート・マンションを建てる場合は貸付事業用宅地等に該当するため200㎡までの土地評価額が半額になります。
200㎡を超える部分はそのまま計算されます。
該当部分の評価額の半額となるため、実質的には現金を持っていた場合より低くなります。
※30年の改正により、新規に不動産賃貸業を開業された方は、開業3年間は上記の小規模宅地等の減額は受けられません。